本を読むときは、それがいつの時代に書かれたもので、当時の時代背景はどういったものなのかを知った上で読まないと、書物に書かれている本当の意味を理解することは困難です。
今日はスピリチュアリズムの必読の書と言われている「天界の秘儀」を取り上げ、本書をどのように理解したら良いのかを解説します。
「天界の秘儀」の著者はエマニュエル・スウェーデンボルグです。書かれたのは1750年代。当時の日本は寛延の時代で、将軍は9代徳川家重のころです。最後の将軍である徳川慶喜は15代将軍ですので、かなり昔だということがわかります。
スウェーデンボルグは、IQが160以上あったのではないかと推察されているくらい知能の高い人で、出身はスウェーデンです。国立鉱山の責任者をしていて、スウェーデン国王とも交流がある、身分の高い人でした。
ある日、スウェーデンボルグが自宅のイスで腰掛けていると天使たちがやってきて、霊界や天界へ導いてくれるという体験をしました。これは何度も行われ、霊界や天界を訪れば訪れるほど、当時の人々が考えていた霊界や天界とあまりに実態が異なることを知りました。そして、霊界と天界の実態を書物にしなければと決心しました。
しかし、当時のヨーロッパは国、政治を乗り越え、キリスト教が絶対的な支配をしていました。教会とは異なる考え方は異端とみなされ、宗教裁判が盛んに行われていました。スウェーデンボルグが伝えようとしたことは、教会の教えとは異なるため、拷問や命の危険がありました。
そのためスウェーデンボルグは、わざわざイギリスに行き、匿名による自費出版を行いました。
では実際の「天界の秘儀」はどのようなものでしょうか。
本書の冒頭に「天界も霊界も、主イエス・キリストの王国であり、キリストの影響下にないものは一切ない」と出てきます。さらには、すべての章に「主はイエスただお一人」と出てきます。
「天界の秘儀」を読んで、「ああ、天界も霊界も主は一人であり、その主はキリストなんだ」と思うのは早計です。
各章に出てくる「主はイエスただお一人」という表現が、前後の文脈と関係が一切なく、唐突にでくること。そして、「主はイエスただお一人」を目隠しすれば、文がきれいにつながることに気がつかなくてはいけません。
これらはもちろん、スウェデンボルグが仕掛けた「保険」です。匿名で出版はしたけれども、いつの日かスウェーデンボルグが書いたことが暴かれてしまうかもしれません。もしそうなったき、宗教裁判にかけられても言い逃れができるように「偽装」をしたのです。
昔の書物には制限があり、検閲もありました。現代のようにどんなことでも自由に表現することができなかった時代があります。スピリチュアリズムに関する書物は古い時代のものが多いので、そういった点を念頭に置きながら読み進むようにしていくと、表面的に書かれている文章の奥にある真実が分かるようになります。
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一巻を大変興味深く読んでいます。質問です。内容を完全に理解できなくとも八巻全て通しで読んでみた方が良いのでしょうか。それとも一巻だけでも繰り返し読んで深く理解しようと試みた方が良いでしょうか。
スウェーデンボルグの著作はスピリチュアリズムに関する書物の中でも、特に難解な部類です。
難しい、よくわからないと感じた文があったら、鉛筆で印や線を書き、付箋をしてください。1巻から8巻までを立ち止まらずに通して読むことをお勧めします。重要なことについては2巻目以降にも度々出てきますし、別の角度での説明もあります。
読み終えたら、各巻の付箋を再チェックすると、以前は理解できなかったことが、わかるようになっていることも多くあります。
早々にご回答ありがとうございます。通して読んでみます。10年前なら到底読み進める事すら出来なかったと思います。1巻の三分の一程度読んでいますが、既に「全体も個々も、すべて主のものです」という一文に出逢えています。