前回に引き続き、仏教関係の話題です。今日は大乗仏教と小乗仏教の違いを知っていただいた上で、小乗仏教とスピリチュアリズムは、その根幹となる考え方に共通点が多いということについて書きます。
仏教は、インドの小国の王子として生まれた釈迦が身分と富で堕落した生活に見切りをつけ、人はいかに生きるべきかを問い、自らの生き方を通して開眼し、人が生きる目的は悟りにあると説いた宗教です。
釈迦の教えは民衆へと広まりましたが、釈迦の没後約500年頃には、異なる教義を持つ派閥が出現しました。これが大乗仏教です。
大乗仏教の特徴は、民衆は本来菩薩であり、出家する必要はないという教義です。修行のみならず、他者への善行によっても悟りを開くことができると説いています。
そして、自らの教義を乗り物に例え、「私たちの乗り物は大きく、多くの人々を救済できる。それに対して、従来の仏教は乗り物が小さく、少数の人しか救済できない」と述べ、従来の仏教を小乗仏教と名付けました。
もちろん、小乗仏教という名称は蔑称であり、本来は「上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)」と表現されます。このブログの冒頭では、みなさんにとって馴染みのある小乗仏教という言葉をあえて使用しました。以降は上座部仏教に変更して記述していきます。
上座部仏教は、インドを起点として、タイ、ミャンマー、カンボジアなどの東南アジアへと伝播しました。
一方、大乗仏教は玄奘によって中国へと伝来しました。
当時の中国は隋から唐へと移行したばかりで、長年の戦乱によって疲弊していました。乱れた世を救済するには仏の教えが必要だと考えた玄奘は、経典を求めて、長い旅路につきました。そして、たどり着いたのが、インド北部に位置するナーランダ僧院です。
・・・玄奘は西遊記のモデルになった人物です。
玄奘はサンスクリット語で書かれた経典657部を写本し、唐の都へと持ち帰りました。これが、中国における仏教の伝来です。
ここで注目すべきは、玄奘が修行を積んだ寺院がインド北部に位置する大乗仏教の寺院であったことです。そのため、中国に伝来した経典は上座部仏教ではなく、大乗仏教だったのです。
もし玄奘が、インド南部まで旅を続けていたのなら、中国に伝来した仏教は上座部仏教だったかもしれません。
中国に伝わった仏教は、やがて韓国、そして日本にも伝播しました。
日本において仏教が伝来したのは大乗仏教であり、その後、天台宗、浄土宗、密教などに分派しました。しかし、これらはすべて大乗仏教に起源を持ちます。上座部仏教は日本に伝来しませんでした。
以上が、上座部仏教と大乗仏教の違いです。少し長くなりましたね。
次に、上座部仏教とスピリチュアリズムの共通点について書きます。
共通点1
上座部仏教は姿・形を持たない宇宙の真理を法身仏とし、仏を絵や仏像に表しません。この点がスピリチュアリズムと同じです。スピリチュアリズムでは、神の名称を特定せず、姿絵も存在しません。
共通点2
上座部仏教は、姿のない宇宙の真理の法身仏、人を救うときに一時的に姿を現す報身仏、そして釈迦の応神仏、この3つを仏と定義しており、組織図を有していません。この点もスピリチュアリズムと同じです。
なお、大日如来を主尊とし、その周辺に諸仏が描かれた組織図は曼荼羅と呼ばれ、大乗仏教の特徴です。
共通点3
上座部仏教では、悟りを開かない限りは輪廻転生が繰り返されるとしています。この点もスピリチュアリズムと同じで、魂の浄化のために現世界に再生を繰り返していて、現世界でやるべきことを終えたら、輪廻転生は終わるとしています。
ただ少し違う点もあります。上座部仏教では、現世は老・病・死の「一切皆苦」ととらえており、一切皆苦から解放されるためには悟りを開くしかないとしています。
一方、スピリチュアリズムでは、肉体を持つことによって傲慢さが顕著になると考えており、肉体があるからこそ、自分の傲慢さに気づき、それを克服することができるとしています。
共通点4
上座部仏教は悟りを開くためには自らの努力しかないとしています。スピリチュアリズムも同じで、自らの研鑽によってのみ魂は浄化されるとしています。そして、誰かに代わりにやってもらうことはできないとしています。
この点は大乗仏教、特に日本で発展した「他力本願」と大きく異なります。
仏教は民衆にとって非常にハードルが高い宗教でした。なぜなら、民衆が膨大な量の経典を読むことは極めて困難であり、生活に追われている中で修行を行うことは事実上不可能だったからです。
そういった中、経典を読まなくてもよい、出家も修行もしなくてもよい、ただひたすら阿弥陀如来を賛美すれば、極楽浄土に行けると説いた宗教が出現し、爆発的に信者を増やしました。それが浄土真宗です。
スピリチュアリズムでは、神を賛美することはしません。また、祈りは他者の幸せを祈願するものであり、魂の浄化と無関係であるとしています。
共通点5
上座部仏教は他の宗教と比べると哲学的であるとしばしば指摘されます。考えながら生きること、自分を律しながら生きることを勧めています。この点もスピリチュアリズムとよく似ています。スピリチュアリズムは思考を必須とし、感覚だけでは理解し難い側面があります。そのため、難解であると評されることがあります。
いかがだったでしょうか。紀元前400年ごろにインドで釈迦が説いた仏教と19世紀にヨーロッパで誕生したスピリチュアリズム、双方には根幹となる考えに共通点があることをご理解いただけましたでしょうか。
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