道路の脇やふとした場所にお地蔵様がいらっしゃるのを見かけることがあると思います。今日はお地蔵様に関する知識と、お地蔵様の前を通る時には何に気をつけたら良いのかについて書きます。
まず最初に「お地蔵様と子供達を結びつける関係」について、次に「なぜお地蔵様が道路脇にまつられているのか」、そして最後に「お地蔵様の前を通る時には何に気をつけたら良いのか」という順番で説明していきます。
「お地蔵様と子供達を結びつける関係」
お地蔵様とは本来、仏教の地蔵菩薩のことです。お釈迦さまが入滅後、弥勒菩薩がこの世に現れるまでの56億年間、人々を苦悩から解放するのが役割です。しかしこの教えはあまり日本に浸透しませんでした。
一方日本では、道教や浄土宗の地獄に対する考えが民衆に強い影響を与えました。罪を犯した者はあの世で罰せられるという教えです。
そういった中、子が幼くして他界するのは親を泣かせ、親不孝である。すなわち罪であるという考えが生まれました。他界した子供たちは賽(さい)の河原を渡ることができず(霊界に行けない)、親が悲しみから解放されるため、石を積むように鬼に言い渡されます。しかし、積み終わりそうになると鬼が蹴散らしてしまいます。
こういった無間地獄をなんとかして救ってあげたい、では誰が、という時に持ち出されたのが地蔵菩薩です。地蔵菩薩の元となるサンスクリットには胎内という言葉が含まれるため、地蔵菩薩が選ばれたようです。もちろんこれは日本独自のものであり、仏教の教えにはありません。
「なぜお地蔵様は道路脇にまつられているのか」
これは日本の民間信仰である、道祖神に由来しています。道祖神は村の外部からやってくる病や災難、悪霊を抑える役割です。村と外部を結びつけるのは道ですので、道路脇に道祖神はまつられました。
地蔵菩薩が民衆に支持されるようになると「お地蔵様をまつりたい。でもどこにまつったら良いのだろう。」となりました。お寺は仏教の管轄ですし、神社は神道の管轄です。地蔵信仰はあくまでの民間信仰ですので、お寺や神社にまつることができません。そこで、道祖神にヒントを得て、誰の持ち物でもない、道路脇にまつられるようになりました。
しかし道というのは人の往来があり、危険な場所でもあります。そこで命を落とす子供たちもいました。ですから、道路脇にお地蔵様をまつるのは結果として、理にかなっていたのです。
よく見るとお地蔵様がまつられているのは道路脇ばかりではありません。なぜこんなこところに、という場所にもまつられています。そこはたいてい、子供が事故で亡くなった場所です。用水路の脇や池のほとりにも、お地蔵様がまつられていることがよくあります。
「お地蔵様の前を通る時には何に気をつけたら良いのか」
お地蔵様も設置しただけなら、ただの石像です。しかし、花をたむけ、拝むようになると、自分をあがめてもらいたいと考えるスピリットがいつくようになります。
人々が子供たちの安全や往来の安全を願っているのであれば、そういった願いをかなえるようなことをしてくれます。しかし元々が高級霊ではありませんので、プライドが高く、あまりほめられない面も持ちあわせています。
もし拝んだことがある人が、素通りをするとしゃくにさわってしまいます。思い知らせてやろうと意地悪をすることさえあります。
お地蔵様の前を通る時に手を合わせるのなら、必ず手を合わせる。会釈をするのなら、必ず会釈をする。知らんぷりするのなら、ずっと知らんぷりをする。一貫した態度でのぞむべきです。その時によって態度が異なるというのが一番よくありません。
いかがだったでしょうか、景色として溶け込んでいるお地蔵様にこんな由来や気をつけるべき点があるというのは驚きだったでしょうか。
ちなみに、子供が他界したからといって、成仏できない、無間地獄におちいるということは一切ありませんので、ご安心ください。
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